2008年 09月 04日
中野にある東京子ども図書館の館長松岡享子さんからお手紙をいただく。 この建物には、2000年にお話の部屋と児童室に3点のステンドグラスを取り付けた。 手紙は、今日は、一つお知らせしたいことがあってという書き出しである。 内容の一部をそのまま書き移してみる。 少し前からo君という男の子が来るようになりました。このごろ新聞などでも取り上げられているようになった多動の問題がある子で初めはなかなか集中することができず、お話も聞けないで他の子の妨げになったりしておりました。 そのo君が、ある日お話に部屋のステンドグラスを見て「きれいだね。虹みたい」といい、じっと見つめていたのです。こんなふうに、ステンドグラスに注目した子はいなかったので、職員が児童室のも見るようにといいましたら、そちらも喜んでみつめました。 もしかしたら、この子は色に敏感で美しいものが好きなのではと考えた職員が、色をテーマにした絵本を何冊か読んでやりましたら、これは集中して聞き、楽しんだということです。 今では、少しずつ落ち着いて、大勢の子どもといっしょの夏休みのお話会でも、騒ぐことなく、みんなと一緒におしまいまで聞いていました。少しずつですが、職員たちともよく気持ちが通じ合うようになってきていると、みな喜んでおります。 という内容である。私の作ったステンドグラスが特別すばらしいものではないだろう。その子にとり、一日のまた季節の日の移ろいにより変わるガラスの揺らめきを感じとってくれたのだと思う。 それはステンドグラスの色彩で絵画のように固定された色彩ではない。 公共の建物に設置されるステンドグラスにおいて、全ての人を満足にすることはできない。 しかし、個に没することなくシンプルに色彩と形を考えていきたい。
by keiji-takai
| 2008-09-04 00:49
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